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▼札幌記念はG1になれるのか(水野隆弘)
 今週から2年ぶりの札幌競馬が始まる。新装なったスタンドの詳細は「週刊競馬ブック」7月14日発売号で村本浩平さんが詳しくレポートしており、写真を見るだけでも北海道らしい爽やかな空気のもとでの競馬が満喫できそうに思える。札幌にはもう18年も行っていないので、あくまで想像ですけどね。入場ゲートからすぐの場所にある「ファンファーレホール」は広いスペースが確保されてパドックから馬を移動できることからセリ会場としての活用も見込まれているという。ここで思い出すのが、ある調教師がかねてから言い続けてきた、「札幌記念をG1にして、同時にセリもやったらいい。東アジアのお客さんも呼べる」というアイデア。このような考え方がJRA内部にもあるからこそセリ会場へ転用可能なホールを作ったのではあろう。

 夏のリゾートと質の高い競馬、そしてセリの組み合わせはアメリカのサラトガ、フランスならドーヴィルなどが有名で、世界のお金持ちの間では、夏の競馬の楽しみかつ社交の場として発展、定着した。それを札幌でやったらどうでしょうかということだ。サラトガは7月から9月初めの開催中にG1が16、ドーヴィルもタイキシャトルが勝ったジャックルマロワ賞をはじめ5つのG1がある。札幌開催を日本の夏競馬のシンボルとするには、目玉として札幌記念のG1昇格は必須といえるだろう。

 ある競走がグレードを得るには「日本グレード格付け管理要綱」の基準に則り、「日本グレード格付け管理委員会」によって審査を受け、承認されなければならない。G1の場合は更にアジアパターン委員会による承認も必要となる。格付け基準には賞金額と競走内容(レーティング)の2つがあり、JRAの重賞の場合、今のところ賞金が基準(G1なら1着賞金5000万円以上、総額8500万円以上)を満たさないとは考えづらいので、問題となるのはレーティングだけ。ここでいうレーティングとは(1)年間レースレーティングと、その直近3年の平均値である(2)パターンレースレーティングの2つ。大事なことなので「日本グレード格付け管理要綱」からそのまま引きます。

(1)年間レースレーティング
 当該レースで上位4頭までの馬のWRSC公式レーティングの平均値をいう。なお、牝馬限定以外の競走において上位4頭までに牝馬が入着した場合には、牝馬アローワンスを加算して算出する。また、当該レース出走馬のうち、レーティングの高い上位4頭の馬のレーティングを用いて算出することができる。その場合も牝馬アローワンスは加算するものとする。
(2)パターンレースレーティング
 「年間レースレーティング」の直近3年間の平均値をいう。ただし、2回しか施行されていない競走については、2年間の年間レースレーティングの平均値をパターンレースレーティングとして認める。

 (1)のレースレーティングは、そのレースにおけるレーティングでなく、年度の最終的なレーティングのことなので、JRAのホームページで、「レーティング&ランキング」→「JPNサラブレッドランキング」とたどれば当該馬の確定レーティングは簡単に調べることができる(これがWRSC=ワールドランキング統括委員会=公式レーティング)。それを平均すれば良い。牡牝混合レースで牝馬が上位4着までに入った場合は、牝馬アローワンス(3歳以上なら4点)を加算する。(1)の後段、「レーティングの高い上位4頭のレーティングを用いて算出することができる」というのも重要で、文字通りに読めば、凡走した強い馬のレーティングを採ることもできるということになる。それらの3年の平均値である(2)パターンレースレーティングおよび直近の(1)レースレーティングが以下の基準を満たせば、それぞれのグレードを申請し、承認を受けることができる。

【基準となるレースレーティング一覧】
3歳・3(4)歳以上、( )は牝馬限定
 G1=115(110)
 G2=110(105)
 G3=105(100)
2歳 ( )は牝馬限定
 G1=110(105)
 G2=105(100)
 G3=100(95)

 まず、試みに札幌記念の過去3年の数値を計算してみると以下の通り。年間レースレーティングは上位4頭の平均、牝馬のアローワンスは4点なので、平均すると牝馬1頭につき1点加算ということになる。

【2011】
122 トーセンジョーダン
113 アクシオン
108 レッドディザイア(牝)
107 コスモネモシン(牝)
年間レースレーティング 112.50
→牝馬アローワンス加算 114.50
【2012】
110 フミノイマージン(牝)
121 ダークシャドウ
115 ヒルノダムール
108 ハナズゴール(牝)
年間レースレーティング 113.50
→牝馬アローワンス加算 115.50
【2013】
117 トウケイヘイロー
112 アスカクリチャン
111 アンコイルド
105 アイムユアーズ(牝)
年間レースレーティング 111.25
→牝馬アローワンス加算 112.25

近3年間のパターンレースレーティング 114.08

 レースレーティングの3年平均は惜しくも114.08。1ポイントに満たない僅差で基準を満たしていない。いずれもギリギリの数値だが、特に2013年の数値が残念というほかない。しかし、ここで「また、当該レース出走馬のうち、レーティングの高い上位4頭の馬のレーティングを用いて算出することができる」との但し書きを思い出していただきたい。ホンマかいなと思いつつ、これを適用すると以下の通り。★が着外のレーティング上位馬。

【2011】
122 トーセンジョーダン
113 アクシオン
108 レッドディザイア(牝)
113 マカニビスティー 11着★
年間レースレーティング 114.00
→牝馬アローワンス加算 115.00
【2012】変化なし
110 フミノイマージン(牝)
121 ダークシャドウ
115 ヒルノダムール
108 ハナズゴール(牝)
年間レースレーティング 113.50
→牝馬アローワンス加算 115.50
【2013】
117 トウケイヘイロー
117 ロゴタイプ 5着★
119 トーセンジョーダン 13着★
116 ルルーシュ 15着★
年間レースレーティング 117.25
→牝馬アローワンス加算 117.25(加算なし)

近3年間のパターンレースレーティング 115.92

 何と3年とも115を上回って3年平均は115.92。現時点での直近=2013年のレースレーティングも117.25とあっさりと基準を超えた。特に2013年は「また、……」以下の一文の効果絶大でありますね。今年以降もこのレベルを維持すれば、ことレーティングに関しては札幌記念は既にG1の資格ありということになる。

栗東編集局 水野隆弘
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