重賞回顧
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水野隆弘
 安田記念は香港
のブリッシュラッ
クが圧勝。2着に
つけた2馬身半の
差はこのレースで
は不良馬場の98年
タイキシャトル、
良馬場では94年の
ノースフライトに
並ぶ大きなものだ
った。父のロイヤ
ルアカデミーは英
G1ジュライCな
どに勝ったあと米
国に渡ってBCマ
イルを制して引退。
ニジンスキー系の
重厚な欧州型スプ
リンターというべ
きで、産駒にはマ
イルのクラシック
馬やBCマイル勝
ち馬、スプリンタ
ーからステイヤー
まで幅広い領域で
一流馬が出ている。
母の父は米国血統
としてはこれまた
重厚なアリシーバ。
種牡馬としては失
敗し、母の父とし
てはポツリポツリ
と一流馬を送る一
発長打型の血統。
英2000ギニーを制
したジョージワシ
ントンは母の父ア
リシーバだから、
今年はちょっとし
た当たり年という
こともできるだろ
う。牝系は名牝ト
リプティクや英・
愛ダービーのジェ
ネラスが出る名門
で、色分けすれば
これもステイヤー
系だ。一昨年の香
港カップ(2000m)
でハナ差の2着が
あるように、重厚
な血脈に裏打ちさ
れた底力が、消耗
戦となりやすい東
京1600mで生きた。
2着にも欧州型ノ
ーザンダンサー系
のシングスピール
産駒のアサクサデ
ンエンが食い込ん
でおり、サンデー
サイレンス産駒は
4着、5着がやっ
とだった。SSが
このレースを攻略
するにはディープ
インパクト級に登
場願わなければ無
理なのかもしれな
い。
ユニコーンSはナ
イキアースワーク
が大外から豪快に
差し切った。この
世代ではファルコ
ンSのタガノバス
ティーユに続く重
賞勝ちで、芝のク
ラシックか古馬の
ダートというこれ
までの一般的なブ
ライアンズタイム
像からはみ出すも
のが増えてきてい
る。牝系はニッポ
ーテイオーやタレ
ンティドガールが
出る名門ビューチ
フルドリーマー系
ワールドハヤブサ
の分枝だが、重賞
勝ちは98年ブラボ
ーグリーンの京阪
杯以来8年ぶりと
なる。従来とは傾
向が変わってきた
とはいっても、条
件戦勝ちからの急
上昇はいかにもブ
ライアンズタイム
産駒らしいので、
このままジャパン
ダートダービーま
で突っ走るケース
もありそうだ。